第三話「ツナと不良」
朝六時からのトレーニング。慣れるまでの間、まずは軽く準備運動をして、そこから走り込み。
昨晩はツナと夜更かししてしまったこともあり、私はもうヘトヘトだったけれど……ツナの方がさらにグッタリしていた。
リボーンは「不調がない限り、毎日だ」と涼しい顔で言い放ち、ツナは「うへっ」と情けない声をあげていた。あれはもう、逆らう気力すらないんだろう。まあ、また叩かれたくないんだろうな……。
朝のトレーニングが終わると、それぞれシャワーを浴びて朝ごはんを食べ、学校へ。
いつものようにツナと一緒に登校すると、教室はなんだかざわついていた。嫌な予感。
「持田先輩が笹川さんに告白して、それで山本君に勝負を挑んだらしいよ」
親しい友人が教えてくれた。唯一ツナを馬鹿にせずに話してくれる、貴重な存在だ。
「なんでも、山本君と笹川さんが“お似合い”って噂が広まって、それが『付き合ってる』にまで発展してたとかで……。それ信じた持田先輩が怒っちゃったらしいの」
なるほど。だから笹川京子さんも山本君も困った顔をしていたのね。
「皆、見に行くっぽいけど、ツナも行く?」と聞くと、ツナは目を半開きにして、心底どうでもよさそうな声で言った。
「今日朝から走ったから……寝たい……」
そう言うなり、彼は自分の席に倒れ込むように座り、ものの数秒で夢の中へ。
その様子を見て、友人はくすっと笑い、「持ってる者の余裕ってやつかもね」と言った。
「……持ってる者?」
思わず首をかしげた。ツナってダメダメなところばっかりじゃなかったっけ? 自分に自信もないし、ネガティブな発言ばかりだし……。
私が疑問を口に出す前に、友人は笑って肩をすくめた。
「……あなたも大概ね」
……本気でどういう意味なんだろう。
その間に、山本君と笹川さんが教室から出て行き、生徒たちもぞろぞろと後を追った。
気づけば、教室には私とツナと友人、たった三人だけ。
教師が入ってきて、その光景に本気で驚いていた。結局、授業にはならず自習に変更。私は図書館で借りた本を取り出し、読書に耽ることにした。友人はスマホをいじってゲーム三昧。
(……もう、毎度のことだけど、この学校、崩壊しかけてない?)
(不良が生徒会長してるとか、普通に考えて怖い……)
関わりたくないなぁ……と、私は深く心の中で呟きながら、本に意識を戻していった。
※
その後、持田先輩に勝ったことで、山本君の人気はうなぎ上りだった。
最近では欠番だったバレー部にも顔を出し、女子たちは彼を見かけるたびに黄色い声をあげている。
笹川さんとも、何かといい雰囲気らしい。噂話に過ぎないけれど、悪い気はしない。
もちろん、本当のことは当人同士にしかわからない。でも、だからこそ無粋な詮索は控えるべきだろう。私はそっと見守ることにした。
その間も、私とツナはリボーンによる特訓を欠かさず続けていた。
……正直、驚いている。自分でもわかるくらい、体力がついてきたのだ。
ツナも、運動音痴なりに基礎体力がついたおかげで、ほんの少しだけ自信が持てるようになったみたい。
そんなある日、新しい転校生がやって来た。
帰国子女で、名前は獄寺隼人。
かっこいいし、頭も良さそう――でも、どう見ても不良。関わるのは怖いな、と思っていたら……なぜかその獄寺君、寝ぼけていたツナに絡み始めた。
な、なんで……? ツナ、知り合いなの? いや、でも寝ぼけてたし、やっぱり知らないのか……?
一部の女子は色めき立っていたけれど、私は一歩引いた。うん、ああいうタイプはやっぱり怖い。
そして休み時間。ツナがふらっと教室を出ていったその数分後、校舎中に響き渡る爆発音。
私は本を置いて目を見開いた。
友人が顔を青ざめさせながら、ボソッとつぶやいた。
「……ねぇ、あんたのツナ、またなんかしてるんじゃないの?」
……嫌な予感。これ、マフィアごっこが学校にまで進出してる?
怖いけど、ツナを放っておくわけにもいかず、私は音のした方へ足を向けた。
そして――目にしたのは、トランクス一丁で立ち尽くすツナと、妙に懐いている様子の獄寺君。それに、平然と佇むリボーンの姿。
……うん。何がどうなったか、さっぱりわからない。
とりあえず、これじゃ授業に出られないから、ツナの体操着を取りに教室へ戻ろう。
いまは、それしかできない。
|
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
家庭教師ヒットマンリボーンの二次創作です。
ツナと幼馴染で青春を送ります。中編です。