その惑星の空に、禍々しい宇宙船の群れが現れた。
先頭に立つのは、白い装甲に身を包んだ小柄な影。
フリーザである。
彼の背後には数万の兵が控えていた。
「ホーッホッホッホ。この星も、わたしのコレクションに加えて差し上げましょう」
観測塔の警報が鳴り響いた。
星の中枢にいた宇宙人達は顔を見合わせ、そして即座に決断した。
「惑星を封鎖する。全ゲートを閉じろ。防衛準備を開始する」
こうして星は一時的に外界との行き来を絶った。
交易船は足止めされ、外の星々の住人達は文句を言った。
「荷物が届かないぞ!」
「いつになったら開くんだ」
しかし、防衛班長は静かに答えた。
「今だけの不便だ。この星の未来がかかっている。どうか辛抱してほしい」
外の者達も、渋々ながら理解を示した。
一時の不便さが一生の安全に繋がるのなら、必要な我慢なのかもしれない、と。
しかし、防衛準備は想像以上に骨の折れる作業だった。
監視網の再構築、古い設備の総点検、入力される全信号の検査。
一つ終わればまた次の穴が見つかり、塞いでも塞いでも、新たな綻びが現れる。
「ここも危ない。あっちの古い回路もだ。どうしてこんなに穴だらけなんだ……」
「歴史が長い星だからな。つぎはぎだらけなんだ」
作業員達の目の下には、深い隈ができていた。
封鎖から惑星時間で三週間が過ぎた頃、一人の宇宙人が工具を床に置いた。
「……もう、いつまで続くんだ、これ」
「おい、手を止めるな」
「だって、終わりが見えないじゃないか。外からは苦情の嵐だ。毎日毎日、まだかまだかと……」
同僚が肩を掴んだ。
「諦めるな! あいつがこの星を壊したら、俺達の未来はないんだぞ!」
「分かってる。分かってるよ……」
その宇宙人は震える声で言った。
あと一週間だけ、と自分に言い聞かせて、再び工具を握った。
そして、四週間目。
「……もう、無理だ」
深夜の作業室で、その宇宙人は呟いた。
モニターには、まだ赤い警告が山ほど並んでいる。
「どうせこんなに長く続くなら、いっそ諦めて、全部忘れちゃえばいい」
その宇宙人は、防衛システムの電源を落とした。
「おい、何をしている!」「疲れたんだよ。もう限界だ」
その姿を見た他の者たちの心も、ぽきり、ぽきりと折れていった。
「……そうだな。俺達だけ頑張っても報われない」「もういいか。解放しよう」
星のゲートは、何の防備もないまま、静かに開かれた。
外の星々の住人達は喜んだ。
「やっと開いた!」「これで荷物が届くぞ」
交易船が次々と着陸していく。
その流れに紛れて、白い宇宙船もまた、悠々と降り立った。
「おや、随分歓迎してくださるのですね」
フリーザは薄く笑った。
閉ざされた扉も、張り巡らされた罠もない。
あるのは穴だらけの、無防備な星だけだった。
「ホーッホッホッホ! では、遠慮なくいただきましょう」
閃光が走った。
星の最期は、呆気なかった。
「うわあああっ!」
孫悟空は布団を蹴り飛ばして飛び起びた。
全身が汗でぐっしょりだった。
「ちょっと、悟空さ! 赤ちゃんが起きるでねえか!」
隣の揺りかごの傍で、チチが目をこすりながら振り返った。
生まれて一ヶ月になる孫悟飯が、すやすやと眠っている。
「わ、わりぃ。……なあチチ、オラ、すんげえ怖え夢見ちまった」
「どんな夢だべ」
悟空は夢の内容を、身振り手振りを交えて説明した。
星を守ろうとした宇宙人達が、準備が長引いたせいで根負けして、全部やめてしまった話を。
話を聞き終えたチチは、深い溜息をついた。
「悟空さ、それ、ようするに『面倒だから対策やめた』ってだけの話でねえか」「そうなんだけどよ……夢の中に出てきたフリーザ、強くねえか?」「夢の中のフリーザより、夢の中の宇宙人の方がよっぽどタチが悪いべ。大体、守るのが大変だって最初から分かってた事だべ?」「うーん、そう言われりゃそうだけど……」「一ヶ月くらいで音を上げるなんて、この子のおむつ替えの方がよっぽど毎日続くだよ」
チチは眠る悟飯をそっと撫でた。
「守るべきもんがあるなら、面倒でも続けるしかねえんだべ。……ほれ、もう寝るだよ」
「……ああ。そうだな」
悟空は布団に横になり、天井を見つめた。
夢の中の星の住人達を思う。
(オラ達みてえな、守ってくれる奴がいねえ星だったら……)
隣で、悟飯が小さく寝息を立てている。
(そんなとこ、ぜってえ嫌だな)
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PHPの脆弱性に関わる二次創作風刺小説です。
エンジニアが折れたらどうなるかを書きました。