六話「家族という名の避難所」
三人がそれぞれ高校生になった。
私は変わらず十五、六歳くらいの姿だ。それでも彼らの成長は早い。私が人間だった頃の寿命の感覚が、今となっては不思議で仕方ない。
石田雨竜は浦原家に住んでいるし、織姫の兄と織姫自身も浦原家に身を寄せている。三人とも住むところに困っていたから、話を聞いたかか様が「住むところがない苦労は分かる。家に来い。どうせ空き部屋がある」と言って、私が雨竜と織姫に声をかけ、織姫の兄はてて様と話して――そして家に引っ越してきた。
原作だと、織姫の兄・昊(そら)は織姫が中学生の時に交通事故で魂が彷徨って虚(ホロウ)になり、織姫を襲うという“重要イベント”があるはずなんだけど……どうしたものかと思っていたら、いつも通りにかか様が動いて全部解決していた。
私が何も言ってないのに、かか様は昊の処理の“最適解”に辿りついていた。
なんかこの動きを見てると、かか様とてて様って原作の流れを知ってるっぽいんだよね。
どうやら、私が二歳から三歳の頃に前世と前々世の話をしていたのを覚えているらしい。
二人はそんな私の原作の話を、迂闊な私とは違って絶対に漏らさない。
その徹底ぶりに、この二人の頭の良さをつくづく思い知る。
あ、ちなみに“知性”ってIQだけじゃないからね。
かか様は物事の流れを見る人。
てて様は分析・記憶・整理して、そこから答えを導き出す人。
前世の研究者時代に原作を読んでた時も思ってたけど、AIより正確なんじゃない? この人、怖すぎ。
今や私の父親になってるけど。ありがたい……本当に、私の敵になったりしないで。
高校生になった雨竜も織姫も、小学生の頃から顔見知りだから仲が良い。いわゆる“幼馴染属性”ってやつだな。
この前ネットでオススメされてたラブコメを買ったら、痛すぎる文章と支離滅裂な内容で、さすがの私でもキレたことがあったんだけど――つまり、あれと同じパターンだ。
最近読んだ痛いラブコメみたいな、あの“幼馴染補正”ってやつ。
意外と一護×織姫じゃなくて、雨竜×織姫になるんじゃないの? って楽しみにしてる。
原作改変は怖いと思ってたけど、かか様が全部ぶち壊してるから、もう何も怖くないなって開き直った。
かか様、ソウル・ソサエティでも色々変えていたらしいし。てて様とくっついたのも、この“型破り”を補正するための流れなんじゃないかと推測していたんだけど……それを知っているはずのてて様が何も言わないなら、大丈夫ってことなんだろうな。
私、前世では文句言いながらも漫画を全巻電子書籍で揃えてた。
だってねぇ、BLEACHってオサレなんだよ。あの独特なポエムが厨二病に刺さる。
今、現実にいるから私も“夢の詠唱破棄”ができる。藍染の詠唱破棄好きだったなー。でも今は嫌い。
かか様、藍染に殺されかけたし。てて様にも酷いことしたし。許すまじ、藍染。
とりあえず、BLEACH代表三人組は高校生になった。
祝いにケーキを作ってやろう。
前世の世界で“第一位になる子供”の保護者をしていた時も、祝い事のたびにケーキを食べさせていた。
私はこっちでもやることは変わらない。
皆の補助に徹する存在なのだ。
私が浦原喜助の娘に生まれたのだから、彼らの害になることは――絶対にしてはいけない。
|
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
BLEACHの二次創作です。
浦原喜助の娘です。成長物語です。