No.1193492

蓮が咲き行く道へ八話

BLEACHの二次創作です。
浦原喜助の娘です。成長物語です。
※浦原喜助の視点です。

2026-09-20 00:48:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:47   閲覧ユーザー数:47

八話「運命への宣戦布告」

 

 浦原喜助視点。

 

 「沖サン……」

 

 ボクの愛する妻は、眠っている。

 昨日からずっと、目を覚まさない。

 頭を撫でても、変化はない。静かな寝息を立てているだけだ。

 

 ボクは妻の常沖(つねおき)と同じ部屋で寝起きしている。夫婦で部屋を分ける必要もなかったし、何より――義骸に入った沖サンの様子を毎日見ておく必要があった。

 

 娘の常成(つねなり)は、外見だけならもう大きいので個人部屋を与えている。

 成は最近の子どもの感覚をちゃんと持っていて、アニメやライトノベルが好きだ。グッズもよく買うので、部屋の物がどんどん増えていく。科学の専門書にオカルト辞典まで混ざっているが、アニメとラノベの並べ方はぐちゃぐちゃで、本棚は完全にカオス化している。

 

 ボクが見かねて並べ替えてあげても、数日で元のカオスに戻る。

 

 「頭の中に順番が入ってるからいいの!」

 

 そう言われてしまえば、ああ、やっぱりボクと沖サンの娘だな……と血筋を実感するしかない。

 

 目に入れても痛くないほど可愛い娘だ。

 正直、まだ親離れなんてしてほしくないと密かに願っている。

 

 けれど――最近はボクも、沖サンの容体で心に余裕がなく、一昨日は成に少しきつく説教をしてしまった。

 

 『死神』達がうろついている。

 この子の存在を知られたくない。

 まだ……巻き込まれてほしくない。

 

 でも、成はもう子どものままではいられない年齢に達している。

 自分で判断し動ける。

 たとえ寿命が長くとも、いつかは大人になってしまう。

 

 だから、彼女が原作に介入してしまうのも――仕方がない行動なのだ。

 前世があるなら、尚更。

 

 昨日、黒崎一護が朽木ルキアに出会い、家族が虚(ホロウ)に襲われた。そしてルキアの霊力をすべて吸い取り、『死神』化した。

 その夜、ボクは朽木ルキアと接触し、役割を全うするために義骸を勧めた。崩玉を仕込んだ義骸を。

 

 卑怯だとは分かっている。

 でも、このやり方しかない――間違いないのだ。

 

 原作通りになるなら、ボクは謗(そし)られてもやり通す。

 黒崎一護で成り立つ世界。

 そして、ボクはその大事なピースを回す歯車的な存在。

 

 ……はっきり言って、――うんざりだ。

 

 ボクが愛しているのは、家族なんだ。

 

 沖サンは黒崎一護の『死神』化によって、この世界から消えようとしている。

 それが“世界的に正しいあり方”だと頭では理解している。

 

 けれど。

 ボクはもう、原作の“独り身の浦原喜助”とは違う。

 

 愛する人を知ってしまった。

 愛しい存在を育ててしまった。

 深い情を持ってしまった。

 

 手放したくない、と思ってしまっている。

 

 何もかも違ってしまったのに、世界は『浦原喜助』という存在を都合よく求め続ける。

 

 ――なら、答えてやろうじゃないか。

 

 沖サンを犠牲にしてまで動き出したこの世界に、宣戦布告するように。

 ボクは原作の道をなぞりながら、壊せる部分は壊していく。

 

 ボクは決めたのだ。

 沖サンと、娘の成を守れるなら――何でもすると。

 

 ――大事な存在だから。


 
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