No.1193597

蓮が咲き行く道へ十話

BLEACHの二次創作です。
浦原喜助の娘で、成長物語です。
※とある魔術の禁書目録のクロスオーバーも入ってます。

2026-09-22 00:59:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:21   閲覧ユーザー数:21

十話「前世の約束は、生きていた」

 

「成ちゃーん!」

 

 私が部屋でアニメを視聴していると、織姫がハイテンションで飛び込んで来た。

 もう、高校生が帰ってくる時間帯か……。

 そう思いながら、織姫に「お帰り」と返す。

 

「ただいま、成ちゃん! あのねあのね、今日黒崎君が学校に来たの!」

「ふーん、あの子、ちゃんと学校に行ってるんだね」

「で、私にこれお願いされたの。『遅くなってすまんって言ってくれ』って」

 

 織姫が差し出したのは、細かく書き込まれたメモが十数枚。

 小学生の頃、なんでもいいから噂を聞いたら教えてと――私が彼にお願いした、あの口約束。

 彼はあれ以来、噂を聞けばこうしてまとめて定期的に渡してくれている。

 

 今は死神として忙しいから浦原商店には来られないようだ。

 何も言わないが、私達が何年も歳を取らないことから、すでに“人間ではない”と気づいているはず。

 けれど、突っ込んではこない。

 でも――そろそろ疑問に思う頃だろう。

 『死神』が、彼の目の前に現れたのだから。

 

 かか様はあれから消失化が進み、起きていられる時間が減ってきた。今は感覚的に三日置きに起きるほどだ。それももっと酷くなるかもしれないと、てて様は言っていた。

 

 てて様は井上織姫の兄・昊(そら)に、会社を辞めてこちらで働いてほしいと頼んでいた。

 昊も準備を進めていたようで、経営を学び、間もなく仕事を引き継ぐらしい。来月には浦原商店の店主後継者になる予定だ。

 彼には霊力の適性もあるらしく、織姫と共に修行が課されることになる。

 

 雨竜は中学生の頃から修行を受けていて、独学だった以前より腕を上げたと自信を見せている。

 帰って来た雨竜は、てて様に頼まれたハンドメイド作品を作っている。私がネットに掲載したところ欲しい人が殺到し、店の目玉商品になった。財布から服まで何でも作れるため注文は絶えず、予約待ちの状態だ。

 日々、雨竜は作品を作り、梱包し、発送している――もう立派なハンドメイド作家で、家の売上に大きく貢献している。

 

 あんなツンケンしていた小さな雨竜が、この家に馴染んで貢献までしているなんて……。

 昊さんも来月から本格的に従業員になる。

 原作を壊し、選んだ選択が温かい形になっていくなんて、思いもしなかった。

 これだけは――変えてよかったと思う。

 居場所を与えることができて、私は嬉しい。

 

 私はにこにこと笑う織姫の頭を撫で、メモに目を落とした。

 

『白髪に赤目の、二十歳くらいの青年を見たという。その青年は“浦原常成”を知らないかと聞き回っていたらしい。成、気をつけろ』

 

 一護の短い警告と共に記された、それは読み捨てる事のできない噂だった。

 

 ――あの子が、来たのか?

 学園都市から、どうやってここへ?

 

 胸の奥で、心臓が知らず早鐘を打つ。

 そして私は、安堵と共に笑い――泣いていた。

 

「成ちゃん!? どうしたの、嫌なこと書かれてた!?」

 

 違うよ、織姫。

 これは――私の前世が報われた瞬間。

 あの子が私を忘れず、探してくれたという現実が、嬉しくてたまらないんだ。

 

 私の現実は、確かに変わっていく気がした。


 
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