No.1193655

蓮が咲き行く道へ十一話

BLEACHの二次創作です。
浦原喜助の娘で、成長物語です。

2026-09-23 17:09:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:58   閲覧ユーザー数:58

十一話「笑いと哀しみのあいだで、私だけ泣けなかった」

 

 てて様は『改造魂魄(かいぞうこんぱく)』のコンを確保し、原作通りの人形を作って一護に渡した。

 一護が買い物から戻ってきたタイミングで、いつもの調子で。

 

『黒崎サンの相棒(いつか影が薄くなる)には必要なんで、これオマケしておくんで使ってくださいね』

『俺を何だと思ってやがる! 父親と娘共々、俺を散々改造して弄んで、その果てにこき使いやがって! いつかお前を倒すからなッ!』

 

 そんなやり取りの末、コンは一護に連れて行かれた。

 互いに罵り合っていたので、一周回って仲がいいんだと思う。

 

 コンには私が直々に指導しておいた。(前世は学園都市の研究者だったけど、教師みたいなこともしてた)

 ついでに久しぶりに研究者の感覚に戻って、付属の能力も追加したので、戦闘でもそれなりに使えるはず。

 商品回収に動かなくて済むし、雨(ウルル)は泣かずに済んだ。面倒事も起きていない。

 何より、てて様はかか様の容体に集中できる。

 

 ただ、コンには女性不信になるくらい私とてて様がイジメ倒したので、もう不埒な真似はしないと思う。

 ――原因は、かか様とてて様の寝室に忍び込んだから。

 

 尸魂界(ソウルソサエティ)では今でも、かか様は“絶世の美女”って噂が残っているらしい。

 コンはその真実を確かめてみたくなったんだとか。好奇心って罪深い。

 

 てて様はとても良い笑みを浮かべながら、コンだけ一週間のご飯抜きの刑にした。

 七日目のコンは、もう死んだ魚みたいな眼。改造魂魄で人形だから食事が不要なはずなのに、精神的には限界だったのだろう。

 可哀想ではあったけど、てて様はかか様が大事だから、小さな不埒でも絶対に許さない。

 怒らせたら怖い人だと、私も改めて思った。

 

  ※

 

 六月十七日。黒崎真咲(くろさきまさき)さんの命日だ。

 一護はこの時期が近づくとピリピリする。

 ――自分が殺したと、今でも思い込んでいるから。

 

 昨日、一護の手で賞金首の虚(ホロウ)は討たれた。

 その後、一心さんが一護の思い込みをまるっと包み込んで話をしたことで、

 一護は死神として生きていく覚悟を、より強く固めたようだった。

 

 けれど、まだまだ強力な虚(ホロウ)は存在する。

 彼の戦いは、これからも続いていく。

 

 その陰で、かか様は一週間の眠りにつくことになった。

 消失化が、目に見えて進んでいる。

 ご飯もあまり食べられなくなり、てて様は栄養剤を作ってはかか様に投与していた。

 その横顔に、深い哀しみの影がよぎる瞬間がある。

 

 私だって、日に日に弱っていくかか様を見るのは辛い。

 織姫はその様子に耐えきれず、泣き出してしまった。

 私だって泣きたい。泣きたいのに、泣けなかった。

 ――だって、私は知っている。かか様の本体は別世界で生きているということを。

 

 ……泣かないなんて、私、おかしいのかな。


 
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